年次有給休暇指定義務化~押さえておくべきポイント
みなさま、こんにちは!社労士の林です。
インフルエンザが流行っておりますが、花粉も徐々に飛んできているような・・・
風邪なのか花粉症なのか分からずモヤモヤしてしまうこともしばしばです。
皆様もご自愛ください。
さて、4月が近づき「年5日の年次有給休暇(以下、年休とします)指定義務化」に関するトピックが色々と出ていますね。
前回10月に更新した弊所の記事にもポイントを書きました。
前回記事はこちら↓
前回記事以降、通達等も出てきて、かなり整理されてきました。
それらを含めて端的にポイントだけ示せば、以下のようになります。
- 年休が10日以上付与される労働者が対象。正社員だけではなく、パート・アルバイトも対象。管理監督者も対象。
- 労働者ごとに年休を付与した日(基準日)から1年以内に5日取得が必要。
- 時季指定は労働者の意見を聴取しなければならない。又、労働者の希望も尊重するよう努めること。
- 既に5日以上の年休を取得している労働者に対しては時季指定は不要。
- 使用者は労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し3年間保存すること。
- 時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について就業規則への記載が必要。
- 上記2及び6に違反した場合は罰則が科されることがある。
前回記事から新たに追加した項目としては、6.と7.になります。
{上記1.~4.について}
ざっくり整理すると、
- 「使用者による時季指定」「労働者自身の請求・取得」「計画年休」いずれかの方法で年5日以上の年休を取得させれば良い。
- 上記の方法で取得させた年休の合計が5日に達した時点で、使用者からの時季指定をする必要はなく、またすることもできない。
ということになります。
{5.の年次有給休暇管理簿について}
以下の項目を労働者ごとに明らかにした書類を作成することとしています。
- 年休を付与した日(基準日)
- 年休を取得した日(時季)
- 取得日数
必要なときにいつでも出力できればエクセル等のシステムで管理することもOKです。
作成する労働者の範囲ですが、指定義務化対象の労働者だけではなく、年休を付与する可能性がある労働者(6ヵ月以上継続して勤務する可能性のある労働者)について作成しておきましょう。というのも、「使用者は年休を与えたときに管理簿を作成しなければならない」とされているためです。なお、年次有給休暇管理簿を作成しなかった場合でも、罰則の適用はありません。
{6.の就業規則記載について}
「休暇」に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項であるため、使用者による年休の時季指定を実施する場合は就業規則への記載が必要となります。早急な確認が必要です。
{7.の罰則について}
以下のようになります。
- 年5日の年休を取得させなかった場合※ ⇒ 30万円以下の罰金
- 使用者による時季指定を行う場合で、就業規則に記載が無い場合 ⇒ 30万円以下の罰金
※の罰則について、対象となる労働者1人につき1罪として取り扱われます
なお、罰則についてはいきなり適用されるというものではなく、労働基準監督署の監督指導でその是正に向けて指導し改善を図ることとしています。
さらに詳しい内容については、「耳寄り情報集」の中に「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」のリーフレットがありますので、そちらをご覧ください。
<はやしの気になるポイント>
ここで突然ですが、私が気になってモヤモヤしていたことが一つありまして・・・。
「時間単位年休」についてです。導入している企業様も最近多いかと思います。
ご存知の方もいるかと思いますが、実は今回の義務化において、「時間単位年休」で取得した年休はカウントされません。
取得したと認められる年休は「一日年休」「半日年休」だけです。
例えば「年5日分の有休を時間単位年休として付与する」と労使協定で定めている事業所において、ある労働者がその時間単位年休をフルに使って5日相当分休んだとしても、それはこの指定義務を果たしたことにはなりません。まぁ、あまりないこととは思いますが・・・。
ということは、プラス5日分の一日有休・半日有休を取得してもらわないといけない・・・。10日付与の労働者であれば有休完全消化しなければいけないことになりますね。少しでも有休を消化して欲しい、利便性を高めたいとの思いで導入している企業も多いと思いますので、う~ん、これはどうなんだろう、と思います。時間単位年休ではなく、出来るだけ半日有休を取得してもらうよう社員に促す形になるのでしょうか・・・。
時間単位年休がカウントされないとなると、この制度自体を見直す会社も出てくるような気がします。国としては、まとまった休みを取って欲しい、という思いがあるようですが、一日相当分を取得した場合は一日としてカウントするなど、ここは柔軟に対応していただきたいところです。
それでは!
上記に関してご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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