年5日間の年次有給休暇取得義務化について

皆様、こんにちは!社労士の林です。

働き方改革関連法案が可決・成立し、2019年4月1日より施行されることはご存知のことと思います。

見直しされる内容は多岐に渡りますが、その中でも早急な対応が必要であり、かつ小規模企業にインパクトの大きい内容1人1年あたり5日間の年次有給休暇取得を企業に義務付ける」という改正です。

他にもインパクトの大きいものとして「残業時間の上限規制」「月60時間超残業の割増賃金率引き上げ」という見直しがありますが、これらは中小企業の場合、適用日がそれぞれ2020年4月1日、2023年4月1日と多少猶予があります。これから労働時間削減にトライできることも色々と考えられるかと思います。

しかしながら、この年次有給休暇取得義務化は来年の4月1日施行。今から約半年しか時間がありません。まさに待ったなし。

なおかつ大手も中小も関係なく、一律に義務化されます。

少し細かく見ていきましょう。

<ポイント>

  1. 使用者が与えなければならない有給休暇日数が10労働日以上の労働者が対象。つまり、正社員(有給休暇権利取得者)は全員対象、パート・アルバイトも比例付与で有給休暇日数が10労働日以上の人は対象となる。
  2. 年次有給休暇の管理簿作成が義務化(予定)される。←3年間保存が必要です。
  3. 2019年4月1日施行後の最初の基準日(原則として、雇い入れ日から継続勤務し6ヵ月経過した日)から義務化がスタートする。従って、義務化のスタート日は労働者毎に異なる(原則の場合)。
  4. 義務化のスタート日を把握するため、労働者ごとに基準日の確認が重要となる。
  5. 基本的な手続きの流れとしては、①使用者が労働者に取得時季の希望を聞く②労働者の希望を踏まえ、使用者が取得時季を指定(例:○月×日に休んでください)③○月×日に年休が成立、という形になる。計画的付与で予め取得時季を指定する方法もある。
  6. 労働者毎に5日間の年次有給休暇を取得していればよい。自ら申請して取得した年休も通算される(例:自ら申請して年休を取得した日が3日+会社から時季を指定された年休が2日=5日でOKとなる)。

詳細については今後省令や通達等で定められるかと思います。

不明点としては、3.で年休の斉一的取扱いをしている企業の基準日はどうなるのか、が挙げられます。恐らく統一された基準日から義務化がスタートすると思いますが、分かりましたら改めてアップデートいたします。 ←以下のようになります。

毎年4月1日に年休を付与(年休の斉一的取扱いといいます)している場合はどうなるのでしょうか?

例えば毎年新入社員を4月1日に採用している会社の場合、1年目の有休付与日は6か月後の10月1日となり、そこから1年間(翌年の9月30日まで)の間が指定義務の該当期間となります。しかし、2年目の付与日は4月1日ですので、4月1日~9月30日の期間が重複することになり、管理が煩雑になってしまいます。

その場合、10月1日から翌々年の3月31日までの期間、すなわち1年6ヵ月(18ヵ月)の長さに応じた日数(比例按分した日数)を取得させることが認められています。

すなわち、5日÷12ヵ月×18ヵ月=7.5日以上取得させれば良い、ということになります。

上記の期間経過後、つまり翌々年の4月1日からは、原則通りそこから1年間に5日の指定義務がかかります。

上記については分かりづらい部分も多いかと思います。厚生労働省から以下のパンフレットが出ておりますので、ご参考にしてください。

年次有給休暇の時季指定義務

現在分かっている段階で言えるポイントとしては、こんなところです。

今まで年休の取得実績があまり無かった企業、特に小規模企業にとっては、取得義務化に伴う人的コストの上昇など、経営的なダメージが大きいと思います。来年4月1日の施行日を踏まえ、義務化に伴う課題を洗い出し、早急に検討することが大切です。

それではまた!

追伸:↓もぜひお読みください。

年次有給休暇指定義務化~押さえておくべきポイント

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