創業に向けて~自営でも受給できる助成金はある?その3~

みなさま、こんにちは!

前回は、自営における再就職手当の支給要件について、ポイントを4つあげ、そのうち3つについてお伝えしました。

復習となりますが、ポイントは以下となります。

  1. 待期期間(7日間)経過後に事業の準備を始め、事業を開始したこと
  2. 自己都合退職による給付制限(通常3か月)を受けた場合は、1.の7日+1か月が経過した後に事業の準備を始め、事業を開始したこと
  3. 過去一定期間内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと
  4. その事業が1年を超えて安定的に継続して行える客観的条件を備えていること

まず1.と2.を満たす必要があり、これはきちんと手順を踏めばクリアできますが、何もせずじっと待つ忍耐の時間が必要である、とお伝えしました。

また、3.については文章そのままですので説明は割愛しました。ちなみに「過去一定期間」とは、事業の開始日からさかのぼって過去3年以内です。

 

で、いよいよ4.についてですが、これがまた分かりにくい・・・。

言い換えると「その事業でちゃんと食べていける(=自立できる状態にある)ことを証明してね」ということですが、それを証明するための「客観的条件」とは何ぞや?

具体的には以下A,Bのいずれかに該当していることが必要です。

が、読むのがイヤな方は飛ばして「つまり…」からお読みください(同じものが資料集に載せてあります)。

A 受給期間内に当該開始した事業により雇用保険の被保険者資格を取得する者を雇い入れ、雇用保険の適用事業の事業主になる場合(1年を超えて行う事業に限る)

B 法人登記簿謄本、税務署への開業届、営業許可証により事業の開始、事業内容及び事業所の所在が確認でき、かつ次の(a)~(d)のいずれかに該当することによって1年を超えて事業を安定的に継続して行う客観的条件を備えていると認められること。

(a)通常独立開業できる程度の資格、技能等を有する者で、自らの職業経験を活かして事業を開始するもの(職業経験が長いだけではダメ)。

(b)事業の開始に当たって、事業所の工事費、事務所等の賃貸料、設備・機器・備品の購入費・借料等、一定の経費を要したものであってその地域の同種の事業と比較して事業実施体制、設備等がおおむね同様の事業実態にあるものであること(開始した事業が1年を超えて行えると判断できるものに限る)。

(c)被保険者とはならないが、補助的に業務をこなす労働者(同居の親族以外)を複数雇用するもの(1年を超えて継続して雇用する者を雇い入れた場合に限る)。

(d)他の事業主と結んだ委託契約や請負契約の内容から1年を超えて事業を継続して行えると認められるもの。

つまり・・・

  • 開業当初からフルタイム(週所定労働時間が20時間以上)で人を雇い入れる場合(一人でもOK)
  • 開業当初からパートタイム(週所定労働時間が20時間未満)で複数人を雇い入れる場合
  • 独立開業可能な資格を持ち、それを使って事業を開始する場合
  • 開業にあたり一定の経費が必要で、その地域の同業他社と比較して設備等の事業実態が同じである場合
  • 既に顧客を持っていて、委託契約や請負契約の内容から事業継続可能と認められる場合

のいずれかを満たしていれば、要件をクリアできる可能性が高いというわけです。当然ですが、1年以内に廃止する事業は除きます。開業届、法人登記簿謄本、営業許可証のいずれかは必須ですので念のため。

というわけで、支給要件のポイント4つにつき、順を追ってご説明させていただきました。

これらを満たした上で、開業から1ヶ月以内に再就職手当を申請し、要件の確認が行われた上で特に問題なく支給決定されれば、申請から1~2ヶ月後には口座に振り込まれることになります。

そうそう、再就職手当には申請期限があります。開業から1ヶ月以内に申請しなければならないのでくれぐれもご注意ください。この申請期限については、必ずハローワークに確認するようにしてくださいね。

 

さて、ここから林の体験談を。

私の場合は士業ですので、「独立開業可能な資格を持ち、それを使って事業を開始する場合」となります。

そこで、開業届(税務署で手続きをします)の控えと社労士の登録申請書控えを持参して申請すれば良いと思い、ちょうど税務署とハローワークが近かったので、税務署で手続きをしたその足でハローワークに申請に行きました。念のため、社労士の登録にかかった経費やら備品の領収書を全て持参しました。

要件だけ読むと「いずれか」と書いてあったので、開業届と登録申請書の控えだけあれば大丈夫だろうと思っていたのですが、そうではありませんでした。

上記に加え、念のため持参していた経費や備品の領収書を全てコピーし、加えてお客様への請求書や委託契約書はないか?と聞かれ、場合によっては必要になるかも知れない、とのことでした。

申請に行かれる際は、要件に該当しそうな領収書や委託契約書等の書類は全て持参した方がよろしいかと思います。要件に該当しそうな書類は出来るだけ提出するようにすれば、複数の要件に該当する可能性が高まり、それだけ受給の可能性が高まるかと思います。

その後、ハローワークからの連絡は特になく、手続きから約3週間後に無事受給することができました。意外と早かったので、ちょっとビックリしました。

皆様が実際に手続をされる場合は、必ずハローワークへ問い合わせを行い、持参するものを確認の上、申請に行くようにしてください。

また、4.の条件を申請時点で満たせない場合でも、諦めずにハローワークに確認してみることをオススメします。後日追加書類を提出すれば、受給できる可能性もあります(ただしその場合、書類を待って確認という流れになりますので、支給日はその分遅くなります)。

{まとめ}

「創業に向けて~自営でも受給できる助成金はある?~その1~3」を簡単にまとめると、以下の通りとなります。

その1:失業保険がもらえて、支給残日数が3分の1以上あれば、自営でも再就職手当がもらえる可能性がある!

その2:再就職手当を自営でもらうためには、給付制限期間がある場合は待期期間7日+1か月はジッとガマンで準備もダメ。

その3:「1年を超えて安定的に継続して行える客観的条件」を確認の上、開業から1ヵ月以内に書類を揃えてハローワークに申請!

 

創業に向けて~自営でも受給できる助成金はある?~については、これにて終了です!

ここまでお読みいただいた皆様、ありがとうございました。

大変お疲れ様でした!

 

※この再就職手当について、上記手順で行えば必ず受給できることを保証するわけではありませんので予めご了承ください。実際に手続きを行う場合は、ご自身でハローワーク等にご確認の上、手続きを進めていただけますよう、お願いいたします。